中医学によるLGBTの見方について

 先進国やそれに準ずる文化レベルを持つ国ではLGBTの権利拡大ということが叫ばれていますが、この分野では日本はまだまだ後進国ではないかと思います。もちろん100%差別が存在しない国などありえないとは思います。しかし、日本人は表面的にはキレイ事を言いながらも陰では差別するのでたちが悪いです。

 中医学でLGBTにどう考えるべきか、あくまで「私見」ということで述べてみようと思います。まず、中医学の中核となる陰陽学説では、男を陽、女を陰と分類します。陰陽学説を理解していない人が見ると、この分類は女性を低く見ているように勘違いするかもしれませんが、少なくとも中医学の立場から見た陰と陽は、あくまで対立概念を性質に応じて分類するだけのものであって、陰陽はあくまで平等であると考えます。

 陰陽は対立しつつも釣り合っていなければならないものです。そのためには、陰陽が対等でなければ成り立たないのです。

 陰陽は対立し、釣り合い、そしてお互いに転変します。それが完璧に運行している状態を太極と呼びます。太極の動きを模式図としてあらわしたのが、以下の太極図です。

yinyangyu

 太極図を見て解ることは、陰も陽もそれぞれの領域に入り込んでいるということです。これは、陰陽それぞれの中にもその濃度に差があることを表しています。そして、陰陽それぞれの一部には小さい陰陽の丸が入っています。これはそれぞれ「陰中陽」「陽中陰」を表しています。

 これを例えば人間の男女に分けて考えると、男の中にも「陽剛」が強い「男そのもの」という人がいれば、柔弱で女性に近い優しさを持った人もいるし、女の中にも弱々しくたおやかな人がいると思えば、男勝りの人もいるということです。また、男の中にも女性的な部分、女の中にも男性的な部分がそれぞれ含まれるということも表します。

 以前、先般引退した石原慎太郎氏が同性愛者を「病気」だと決めつけたことがあります。このたぐいの人たちは「男は典型的な男」「女は典型的な女」でなければならないと画一的な考え方をしており、男女それぞれの中にも様々な幅を認める陰陽学説とは正反対に、おそろしく単純で幼稚です。

 セクシャリティにしても陰陽学説によって考えれば「幅」ができるのは当然のことです。太極図は模式図なのではっきりと白黒で塗り分けられているわけですが、実際には陰陽が交わり合う「グレー」の部分もあってしかるべきです。声優の三ツ矢雄二さんが、ご自身のセクシャリティを「グレーゾーンです」と言っておられましたが、まさにそのグレーの部分に入る人たちもいるということです。

 それは確かに全体からすれば少数です。しかし、少数であることを差別する理由にしていいはずがありません。あくまで私個人の解釈ではありますが、中医学的に見てLGBTの人たちというのは病気でも異常でもなんでもなく、存在するのが自然だと言えるわけです。それを差別するのは愚かという以外には言いようがありません。

 ただし、中医学では体の全体のバランスを重んじるので、純粋に医学的な見解としては、持って生まれた体の一部を切り取ったり、なかったものを付け足したりということは極力してほしくはないです。