急性症には慢性の原因がある

 急性症というのは実際のところその症状の発生自体は急性であっても、それが発症するまでに下地となる慢性的原因があることが多いです。

 例えば、ぎっくり腰突然発生するものと思われています。しかし、実際のところ日常的な腰部の疲労や緊張という慢性症状があるところに、急な負荷がかかって発症するものがほとんどです。腱鞘炎なども常に前腕が疲労して前腕の筋群が関節に負荷をかけ続けているからこそ、ある日突然ダムが決壊するように痛みが出るわけです。インフルエンザのような感染症にしても、日常的に健康を維持している人より不摂生で免疫力が落ちている人のほうが感染しやすいと言えます。

 所謂保守系の年配の連中が「今の日本はおかしい」的なことを言うのを見るとといつも思うのですが、今の日本人が突然変異的に劣化したわけではなく、文句を言っている世代がこういう社会を作った結果として、今のダメな日本の姿があるのです。長く積もり積もった原因があるのに、そこから目をそむけて今がおかしいと文句だけ言うのは卑怯者のすることです。

 要するに、ぎっくり腰のような急性症を予防するためには、その前に日常のケアが必要だというのと同じで、今いろいろおかしくなっている社会を矯正するためには教育やら国防やら憲法やら、国の根幹の部分から問題を見つけて治していかないとダメなんです。今の日本は中医学でいう標治、即ち対症療法ばっかりで、本治、つまり根本治療がない。だからいつまでたってもよくならないのは当然のことです。

 医学の観点から国というものを見るとおかしな部分が見えてくることがあって、私はだからといって政治家になるつもりは毛頭ないですけど、孫文やゲバラのように医者だったり医学を学んだりした人間が革命家になる気持ちはよくわかります。