中医学での「不安病」に対するみかた

 いわゆる「不安病」と呼ばれるものには二つの病気が含まれます。

 一つは「全般性不安障害」。これは不安感や倦怠感、頭痛などを感じて外出や家事などがままならないもの。もう一つは「パニック障害」。息を吐くことはできるが吸うことができなかったり、動悸がして、一人では外出できないというもの。

 西医では原因不明で、治療は投薬やカウンセリングのような対症療法しかできないとのこと。あいかわらず西医はこの手の病気に対しては無能です。

 中医学で見ればはっきりしていて、これは二つとも腎虚です。もちろん実際診察してみないと細かいところまではわかりませんが、例えば二つの症状に共通する不安感などは、腎気が衰えているために腎が司る「恐」の感情をコントロールできずに感じてしまうもの。倦怠感や頭痛は肝や脾も関わっている可能性もありますが、腎陽が衰えているときの典型的な症状でもあります。頭痛は腎精が脳を養えていないために起こっていると考えられます。

 そして、息を吐けるけれどど吸えないというのは「腎不納気」の症状です。呼吸においてはもちろん主要に働くのは肺です。しかし中医学では肺は腎の「納気」作用の助けを受けることで深く息を吸えると考え、「腎不納気」つまり腎気が衰え納気作用が弱まると喘息や息を吐けるけど吸えないという症状がおこります。

 原因がわかれば対応もわかるわけで、補腎の治療をすればいいということになります。ただし、経験上補腎の治療は鍼灸だけではなく中薬や気功(体操的なものではなく意守丹田を主とした深い呼吸)などを組み合わせたほうが効果が高いです。

 不安病の対策として座禅が有効であるという意見もあるようです。しかし、不安病は上記のような原因で起こっているものですから座禅で精神状態のコントロールをしようとしてもできないと思われます。それに日本式の座禅は鎌倉時代からあまり進歩しておらず、気のコントロールという点ではまったく未熟なので、やっぱり内養功を中心とした気功のほうがはるかに有効でしょう。とはいえ、日本でまともな内養功を学んでいる気功家は、本当にごくごく少数なので、自称気功のカルトまがいよりは座禅のほうが安全かなとも思います。