「消費者様」は治療しません

 以前、わたみの介護サービスをとりあげた番組で、当時の渡邉美樹社長が「こちらがいいと思っていてもお客様が違うと言ったら100%違うんだ」みたいなこと言いました。「お客様は神様です」というのが日本のサービス業の伝統ですが、そのような過剰サービスが、自らを神様のつもりで尊大になるバカな「消費者様」を生んだとも言えます。

 しかし、鍼灸治療はサービス業ではありませんのでその真逆であるべきだというのが私の考えです。要するに患者さんが何を言おうと私が違うといえば90%は違うということです。10%分はなにかというと患者さんの感覚の部分です。これは本人でしかわからないことだからしょうがないです。

 治療の方針ややり方については、私は自分が正しいと思うやり方で行きます。それは当然のことで、私はプロで患者さんは素人ですから。仮に同業のプロが来てその人が私より優れてると思ったらそのときだけは従うかもしれません。ただ、はっきり言えるのは「消費者様」のつもりでいる人の治療などする気は一切ないということです。

 中国鍼の刺激が日本の鍼より大きいというのを言っていると、たまにマッサージの強揉みのたぐいと勘違いした人が「強い刺激でやってほしい」ということを言ってくる場合があります。そういうのもお断りです。刺激が強いというのは治療のために必要だからであって、それが目的ではないのです。ゆえに、どのような症状にどれだけの刺激を加えるかは私が決めます。

 鍼治療というのは、鍼師が患者さんの体をコントロールするということです。故に鍼師が主で、患者さんは従です。だからといって、こちらが尊大な態度で治療するという意味ではありませんが、ここを抑えておかなければ治療は成り立ちません。