アトピー性皮膚炎3 臨床での対応

 前回までは中医学の理論的な分類と対応を紹介しました。しかし実際の臨床となると複合的な症状の場合もあるし、乾燥と湿潤がコロコロ入れ替わったりもしますのでなかなかやっかいです。

 鍼灸には本治と標治という考え方があります。本治はその病気の根本原因を除く治療、標治はそのつど現れる症状に対応する対症療法です。臨床ではこの本治と標治を同時にうまく組み合わせる必要があります。

 アトピーで一番つらいのはやはり強いかゆみです。アトピーの治療はそれを起こしている根本的な原因をつきとめて、根本的な部分を改善しなければ表面的な症状がおさまってもまた同じことを繰り返すおそれがあるので、本治が重要ではあるのですが、その部分ばかりに対応して今現れているかゆみに対応しなかったら患者さんの治療に対する意欲が失われてしまいます。

 だからきちんと本治の処方を入れつつも、かゆみに対する標治も加えてあげないといけません。

 同時に、患者さんに生活改善をさせる必要もあります。これは私自身がアトピーだから言えることですが、日常生活の見直しにより改善される部分も大きいです。

 逆に治療だけ受けて生活改善をしなければ治療効果は薄くなります。生活改善をせずに治療だけ受けるというのは、こちらが火を消そうと一生懸命水をかけている横で油を注いでいるようなものです。かける水=治療より、油=悪い生活習慣や食事が多ければ火は絶対消えない道理です。

 食生活や生活習慣を改善する気がない人は本気で治す気がないとみなして、私は治療しません。あと、アトピーの治療というのは体質そのものを改善していくような治療になりますのでとても時間がかかります。3ヶ月治療して症状がおさまってきたと思っても、季節の変化でまた悪化することもあります。

 生活改善と治療を根気よく続けてもらわないとなかなかいい方向へは向かいません。以前一回治療しただけで変化がなかったと文句を言われたことがありますが、そういう人は論外です。