慢性腰痛の原因は脳になどない

 7月12日のNHKスペシャルでは腰痛が取り上げられましたが、そこで紹介されていたのは長期に渡る慢性腰痛は、脳の一部の機能が衰えたために、治っているはずなのに脳が痛みを感じているためで、脳のその機能を回復させれば治るのだというようなことでした。このことは実は同じNHKのためしてガッテンでも数年前に紹介されたことです。

 私はそれを見て、やはり西洋医学は遅れた医療であると思わずにはいられませんでした。私はかなりの量の腰痛患者さんを治療してきましたが、その患者さんの中には病院で異常がないと言われたという方も大勢います。しかし、異常がないと言われた人でも触ってみれば腰部の緊張や冷えなどがあるし、骨に異常がないと言われた人でもあきらかにゆがんでいる人もいます。

 病院で異常がないと言われて来た人で、私が触って異常がなかった人は一人もいません。つまり、西洋医は彼らが見下す鍼灸師の私ごときが即座にわかるような腰の異常を、発見することができなかったわけです。そんなレベルの人達がひねり出した言い訳が「実は脳の機能低下が原因だった」という言い訳ではないかと思います。

 中医学的に考えて、腰痛患者に脳の機能低下が発生するのは当然のことです。なぜならば、腰は腎の府であり、脳は腎気が養っているために、腰が悪ければ腎気が滞り、脳を養う力も落ちるからです。逆に言うと、脳の機能低下があるのは、彼らが治っているはずと言い張る腰痛が実はまだ治りきっていないためです。

 ゆえに、腰痛が原因の脳の機能低下は、腰痛を治療することで回復させられます。脳の機能低下をどうにかすることで腰痛を治そうというのは完全に本末転倒です。ここが、中医学に比べて西洋医学が劣っている部分です。

 また、私の経験上腰痛が単純に腰にだけ問題があるということは少ないです。例えば仙腸関節の歪みから来ているもの、腰部から臀部にかけてのどこかに「関所」のごときものがあって、血流が滞っているのが原因となっているものなど、腰の痛みがある周囲に問題があること多いのです。腰痛を的確に治療するためには、そうした関連部位の異状にも目をつけなければなりませんが、患者を触りもしない西洋医にそれが発見できるはずがありません。

 私は、感染症治療や手術などは西洋医学のほうが中医学より長じていると認めるにやぶさかではありません。しかし、多くの部分で中医学のほうが西洋医学よりも優れ、有効であることは明らかで、腰痛もその一つだと断言できます。