西洋医学は中医学より2千年以上遅れている

 9月9日放送の『ためしてガッテン』をたまたま視聴しました。今回は肩こりがテーマで、肩こりの本当の原因が、筋肉の収縮により「しわ」がよった筋膜にあるということが最近発見されたという内容でした。

 私はこれを見て、改めて西洋医学が中医学よりはるかに遅れた医学であることを確認しました。

 肩こりに限らず筋肉の緊張が長く続いたときには、筋肉と筋膜が癒着するということは、我々の世界では常識であり、西洋医学がいまさら「新発見」などと騒いでも「フーン」と眇で眺めるだけです。ただ、これを読んで「番組を見てからいいだしたのではないか」と疑う人もいるでしょう。しかし、そんな「後出しジャンケン」ではないことは簡単に証明できます。

 中医学理論の基礎となる『黄帝内経』素問・痿論四十四にはこうあります。

肝主身之筋膜

 これは、肝気が筋膜を養うという意味で、ここで言う筋膜は筋つまり日本語で言う「腱」と筋膜や内蔵を包む膜を指します。

 痿論は「痿」、つまり手足の力が抜けてしまう症状と五臓の関わりを解く章です。そこには肝と「痿」の関わりとしてこうあります。

肝気熱 則胆泄口苦 筋膜干 筋膜干則筋急而攣 発為筋痿

肝気に熱がある時は、胆汁が余計に排出されて口に逆流し、苦味を感じる。筋膜は乾燥、つまり気血による栄養をうしなって潤いが減り、痙攣が起きて「筋痿症」が起きる

 また同じ素問の上古天真論一には

肝気衰 筋不能動

 ともあります。

 『黄帝内経』は、遅くとも2千年前の前漢の頃には成立していたと考えられている医学書です。その時点で、既に日本語で言う「筋肉」の不調に筋膜が関連していることは明らかなことでした。その「常識」に立った上で中医学はさらに筋膜と肝気の関連性にまで踏み込んで考えています。

 『ためしてガッテン』では、筋膜を伸ばすことで肩こりを緩和する手技を紹介していましたが、これは骨格を矯正する整体のたぐいと同様、症状が緩和するのはそのときだけです。きちんと治したいのであれば肝気を整えるということまで考えなければなりません。しかし、中医学より遅れること2千年にしてやっと筋膜の関わりまで辿り着くことができた西洋医学が、そこから肝気との関わりに気付くまでは、さらに100年ぐらいは必要かもしれません。