中国鍼について

中国鍼とは?

 中国古代に生まれた原始的な刺激療法は、やがて陰陽五行論を取り入れ、経絡・経穴(ツボ)等独自の身体観をもとに発展して鍼治療となりました。その鍼治療は、二千年以上にわたって伝承され、その過程で数えきれない経験・症例を重ねて高度な治療技術が確立されました。

 中国では中医師には西洋医の医師と同等の資格が与えられ、主に病院で治療を行っています。中医師は中薬(漢方薬)や鍼灸など専門が分かれていますが、鍼灸師も薬の処方ができます。また、中医学専門の「中医医院」も各地に存在します。

 中国鍼の適応範囲は非常に広く、内臓疾患(消化器や呼吸器の病気など)や半身不随などの治療が行われ、西洋医と中医の協力体制がある病院では糖尿病の治療なども行われています。

 その特徴は日本の鍼のように管に入れてから刺すのではなく、鍼を直接手で持って刺すことです。

 古代より、手で直接刺す治療技術として伝わった中国鍼は、時代が下るにつれて様々な門派(日本で言う流派)が生まれてそれぞれ研鑽が重ねられ、刺入角度、刺入の強さ、刺入の速度、その他諸々の手技が考えだされて試されて来ました。

 特に近代に入ってからは武術家によって大きく発展した内功(今日でいう気功)とも結びついて*、単なる刺激療法ではない強力な治療法となりました。。

*内功と鍼の結びつき

 北京の鍼灸大家として知られる賀普仁先生は「鍼灸師が気功を修練せねば、治療する側は無駄に力を使い、患者は無駄に苦しむだけだ」とおっしゃっています。その賀普仁先生は内功を重視する内家拳・八卦掌の伝人でもあり、刺鍼技術も八卦掌を応用したものでした。

 私の師爺(お師匠のお師匠)である楊甲三先生は、独自の呼吸法を修練されていたそうです。また、私の師である賀川雅好先生は、楊甲三先生の刺鍼技術に内功や八卦掌(賀普仁先生とは別系統)を融合した治療を生み出しました。

 気功と鍼の融合は、手で直接刺す中国鍼だからこそできることであり、管鍼法を用いる日本の鍼では不可能です。

 以前「気功鍼」と称して患者に鍼を刺したあとに手をかざして気を注入するなどという芸をやっている鍼師をテレビで見ましたが、鍼と気功の融合とはこのような宴会芸とはまったく違い、地道で正しい修練により成せるものです。

中国鍼の長所

・刺激が強いために経穴への働きかけが大きく、気血の流れをコントロールする力が強い。
・季節の気候変化や病状に応じて手技を使い分けることにより、治療の応用範囲が広い。
・経穴を効果的に組み合わせて使うことで相乗効果が生まれ、効果が高くなる。
・正しく修練した者が刺せば、気功の効果も加わる。
・低周波などの外的刺激に頼らなくても、必要な刺激を加えられる。

中国鍼の短所

・日本の鍼より太い鍼を使うので刺激が強い。端的に言うと痛い。
・刺激が強いので、体質が弱い患者さんが、治療後にだるさや疲労感を感じることがある。

玄通堂の中国鍼

 玄通堂の中国鍼は、北京の名大家・楊甲三先生の流れをくみます。当院院長の八卦掌と気功の師でもある賀川先生は、北京留学中に楊甲三先生に直接指導を受け、その高度な技術を学んでこられました。

 賀川先生はまた、八卦掌の縁で賀普仁先生とも交流があり、賀普仁先生の「三通法」の手ほどきも受けておられます。

 私は賀川先生の留学以前から気功の指導を受け、先生帰国後は八卦掌と中国鍼の指導を受けてまいりました。

 また、私自身も中国に渡り、西安中医医院の中医師・胡翔先生のご指導をあおぎ、中医学を学んでおります。

 鍼灸院の中には、単に中国鍼サイズの太い鍼を使って、日本の鍼と同じように管を使って刺すだけの治療を「中国鍼」と言っているところもあると聞き及んでいますが、当方は使う鍼そのもののみならず、診察・処方・刺鍼技術全てを含めて純正の「中国鍼」治療を行っています。

当院の中国鍼治療の方針

 玄通堂では基本的には中国鍼は長期治療が必要な方、他の治療では効果が望めないと思われる慢性病・難病に対してのみ用いることにしています。

 具体的にはアトピーなどのアレルギー疾患で重度のもの、椎間板ヘルニアやそれに伴う坐骨神経痛、半身不随(脳卒中の後遺症)などです。

 ご自分の症状に適応するかどうかについては、遠慮なくご相談ください。

 鍼はその患者さん専用の鍼を使用ごとに高圧滅菌するか、滅菌済みの使い捨てのものを使用します。

 上記の条件にあてはまらない症状でもご要望があれば中国鍼で対応します。