腰痛といっても様々な症状がありますが、ここでは骨の変形などを伴わない単純な腰部周辺の筋肉の緊張により起こる腰痛について考えます。

 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などについては各項目をご覧ください。

中医学的な腰痛の考え方

 腰部周囲の筋緊張による腰痛は中医学的に言えば肩こりと同様「痺症」に分類されます。痺症というのは様々な原因により気血の流れが滞ることで起こる症状のことです。

 いろいろな原因が考えられますが、とりあえず大雑把に例を挙げると

腎虚

 腰部は腎臓に近いので腎が弱まると腰部の気血の流れも滞り、腰痛を起こしやすくなります。

脾虚

 脾は肌肉(日本語でいう筋肉)を養いますので、脾が弱ると肌肉が養われず、身体的な素質として腰が弱い場合は腰の筋肉のだるさ・無力感などとして現れます。

肝虚

 肝は筋(日本語で言う腱や筋膜)を養いますので、肝が弱ると筋が柔軟性を失い、身体的素質として腰が弱い場合は腰部の筋肉の緊張などとして現れます。

 このうち腎虚・脾虚はだるさ・重さが強く、肝虚の場合はひきつれ・痛みなどが強くあらわれるという傾向があります。

 そのほかにもぎっくり腰による筋肉や腱の損傷、負担のかけすぎによる炎症、冬の外気や夏の冷房などによる冷えが原因として考えられます。

腰痛の治療

 腰痛はもちろん腰部に対する治療が主となりますが、治療は上に挙げた原因をよく見極めて原因に応じた治療を行うことが重要です。

 また、腰痛の場合は足の裏側・側面の緊張を伴うことがとても多いので、下半身全体の緊張をゆるめ、腰から下半身全体にかけての血流を改善することが大切です。

 冷えが原因の場合は、必要があればお灸を組み合わせて治療することもあります。

無針鍼で治療するメリット

 無針鍼は血管を拡張させて血流を改善し、筋肉の緊張を和らげる力が強いので、症状の緩和を速やかに実感できることが多いようです。

 また、重度の腰痛の場合同じ姿勢をとりつづけることが困難なことがありますが、無針鍼は鍼を刺さないために患者さんに楽な姿勢に変化してもらいながら治療を続けることができます。


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