椎間板ヘルニア

 椎間板ヘルニアというのはいわゆる背骨を形作る椎骨の間にあるいわばクッションの役割をはたす椎間板という組織が本来あるべき位置からはみ出てしまった状態をいいます。はみ出た結果としてその付近を通る神経が圧迫され、腰椎の椎間板ヘルニアであれば腰痛や坐骨神経痛、頚椎の椎間板ヘルニアであれば腕の痺れ・痛み、頭痛、吐き気などを引き起こします。

中医学的な椎間板ヘルニアの考え方

 中医学では骨及び骨髄は“腎”(腎臓を含めた様々な働きの概念)が養っていると考えます。ゆえにまず腎が弱っている“腎虚”であると考えます。また、坐骨神経痛や腕への症状を伴う場合は痛みや痺れが走る部位の経絡の滞りが併発していると考えます。

 例えば下肢の外側に痛み・しびれがある場合は足の少陽胆経、下肢の裏側に痛み・しびれがある場合は足の太陽膀胱経の気の流れが滞っていると考えます。

椎間板ヘルニアの治療

 鍼灸で治療する場合、上記の原因=“腎虚”への対応が主な治療目的となります。それに加え、坐骨神経痛などがある場合は気の流れが滞っている経絡を疎通する治療を行います。

 また、椎間板ヘルニアを起こしている周囲は筋肉の緊張が見られることがほとんどなので、周囲の筋肉の緊張を取りのぞくことで血流を改善し、症状を緩和させます。

 鍼灸の治療で飛び出た椎間板がもとの位置に引っ込むということは可能性がないとは言えませんが難しいことです。しかし、患部周囲の気血の流れを確保することで痛みやしびれを軽減させることは、症状の程度にもよりますがそれほど難しいことではないので定期的な継続治療をお勧めします。


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