無針バリ(無針鍼灸)とは?
無針バリ(無針鍼灸)は台湾の鍼灸師・楊應吟先生が独自に開発された治療法です。
無針鍼の特徴は、それまでの鍼灸の常識を大きく覆し、鍼を患者さんの身体に刺すことなく、経穴(ツボ)に画像のような金属端子をあてて微弱な電流を加えることで鍼治療と同等、又はそれ以上の治療効果を顕すことができるということです。
一見伝統医学を無視した新しい治療法のように思えますが、実際には楊先生の長年にわたる研究と経験により伝統医学を踏まえたうえで、より効率よく効果をあげることができる治療法となっています。
実際無針バリの刺激を経穴に加えると、たとえば日本式の弱い鍼に比べてはるかに明確な経絡への得気(ひびき)や、身体深部への刺激の浸透を感じることができ、伝統鍼灸を否定するものではなく、より高めたものであることがわかります。
無針鍼の長所
・鍼を刺入しないので、鍼治療の受診経験が少ない患者さんの恐怖感を和らげることができるとともに、過誤による肺気胸や、感染症を避けられる。
・これまでの鍼治療では深く刺すことができなかった(体表に近い位置に肺があるため)経穴にも刺激を加えることができる。
・これまでの鍼治療では対応が難しかった急性炎症(ぎっくり腰・腱鞘炎など)へも対応できる。
・特に痛みをやわらげる力が強い。
・一般的な鍼治療(日本式鍼)よりはやく治療効果が出やすい。
無針鍼の短所
・刺さないために刺激を加える深さを選択できない。
・経穴を一箇所ごとに刺激していくために、経穴の処方(組み合わせ)による相乗作用を得にくい。
この無針バリは、長所が短所を補って余りある治療法であり、考案者の楊先生は30年以上の治療経験で様々な症状の患者さんを治療してこられました。
楊應吟先生について
楊應吟先生は台湾が日本の領土だった昭和元年産まれで、日本語検定で一級を取得するほど日本語が堪能です。
90歳を超えるまで現役で治療にたずさわっておられましたが、2019年、94歳で羽化登仙されました。
現在、日本全国で楊先生について無針バリを学んだ楊先生の弟子たちが、それぞれ無針鍼の治療を行っています。