顔面神経麻痺

中医学での顔面神経麻痺の考え方

 顔面神経麻痺は顔面神経が麻痺することで表情筋がゆるみ、麻痺した側の顔全体が垂れ下がってしまう病気です。俗に「顔面神経痛」と呼ばれることもありますが、神経痛ではありませんので顔面神経痛というのは正しくありません。

 顔面神経麻痺は2つの形があります。

・中枢性

 脳の顔面神経とつながっている部分になんらかの障害があり、顔面神経が麻痺した状態です。多くは脳出血や脳梗塞等が原因になりますが、脳腫瘍が原因になる場合もあります。

 脳卒中は、中医学では中風と呼びます。詳しくは脳卒中後遺症(半身不随)のページをご覧下さい。

・末梢性

 顔面神経そのものが、冷えや細菌感染などが原因で麻痺した状態です。顔の半分だけ長時間風にあたった時などによく起こります。中医学では主に「風痺」という症状に分類します。「風痺」は風邪(ふうじゃ)により経絡の流れが滞った状態のことです。

 中枢性と末梢性の違いは、中枢性の場合手足にも麻痺の症状が現れるのに対し、末梢性は顔面のみ麻痺します。

顔面神経痛の鍼治療

 中枢性のもので脳腫瘍が原因のものは、必要があれば手術をうけるべきです。脳卒中が原因であれば、脳卒中後遺症の治療を行います。

 末梢性の場合、体内に留まっている風邪を除くことと、滞っている顔面の経絡を流してあげることが主眼となります。このため、顔面部に鍼が林立するということになります。

経過

 中枢性のものは脳卒中そのものの程度によって症状の重さが違ってきますので、明確にどれぐらいで回復するということはいえませんが、治療開始から半年~1年程度で改善がみられるものがほとんどです。

 末梢性の場合は中枢性のものより強い麻痺になることはほとんどありませんので、最も早くて1ヶ月、遅くても半年ぐらいで治癒又は改善にいたります。私の経験では2~3ヶ月で治癒に至ったもの(週に2回の治療の場合)が多いです。

 部位別に見ると、治療効果が出やすいのは目の周囲で、その次が頬の表情筋、変化が遅いのが口角の下垂です。

 麻痺の治療は、発生から時間が経つほど治りにくくなります。顔面神経麻痺に限らず、何らかの麻痺の症状が出た場合は、日をおかず治療を受けることをお勧めします。